はじめに
東京大学では,GoogleドライブやOneDriveなどのクラウドストレージを東大のアカウントで利用してファイル共有を行うことができます.
クラウドストレージでファイル共有する際には,生産性や安全性を高めるような使い方があります.
このページの前半では,クラウドストレージを用いた新しいファイル共有方針の提案として,生産性を高める使い方を具体的なモデルケースを交えて説明します.また,求める安全性による共有設定の使い分けについて説明します.後半では,今まで用いられていたファイル送信方法との比較について説明します.
クラウドストレージを用いた便利で安全な共有方法の動画
このページで説明しているクラウドストレージを用いた生産性や安全性を高める共有方法を動画でも説明しています.
クラウドストレージを用いた便利なファイル共有方法
生産性を高める新たなファイル共有方法として,GoogleドライブやOneDriveなどのクラウドストレージを用いたファイル共有を提案します.ただし,一口にクラウドストレージを用いると言っても,単に今までと同様にファイル送信をクラウドストレージを使って行うだけでは,生産性も安全性も高くなりません.
ここでは,生産性を高めるためのクラウドストレージの使い方について,具体的なモデルケースなどを交えて説明します.
共有されたフォルダ上でのファイルのやりとり
クラウドストレージを用いて生産性を上げる使い方として,クラウドストレージ上にファイル共有用のフォルダを作成して共有し,共有されたフォルダ上でファイルのやり取りや編集を行うという使い方を提案します.具体的には,以下のような機能をうまく活用することで,生産性を高めることができます.
- クラウドストレージ上にフォルダを作成し,フォルダを共有してください.
- 共有されているフォルダに新たなドキュメントの作成やファイルのアップロードを行ってください.
- クラウドストレージ上でファイルの共同編集やコメントなどを行ってください.
また,モデルケースの一つとして,会議の議事録などのドキュメントの作成と共有の具体的な共有手順について紹介します.
- GoogleドライブやOneDrive上に会議用のフォルダを作成し,共有してください.
- 共有されたフォルダの中にGoogleドキュメントやWord文書などのドキュメントを作成し,GoogleドキュメントやWeb版OfficeのWordを用いて編集を行ってください.
- 議事録係以外もリアルタイムで編集中の議事録を見ることができるため,会議後に議事録が送られてくるまで待つ必要がありません.
- 複数人で協力して議事録を共同編集することができます.
- 議事録の内容に誤りを見つけた場合やコメントがある場合には,編集権限を持っていれば,ファイルをダウンロードすることなく,直接ファイルを修正することや,提案機能やコメント機能を用いてコメントをつけることができます.
- コメントや修正などは,GoogleドキュメントやWeb版OfficeのWordなどを用いてGoogleドライブやOneDrive上で行うことができるため,議事録係が修正版のファイルを何度も送信する必要がありません.
クラウドストレージ上でのファイルの作成や編集などの基本的な操作を行う具体的な方法は,「Googleドライブの基本的な使い方」や「OneDriveの基本的な使い方」を参照してください.
また,ファイルやフォルダの共有についての具体的な方法は,「Googleドライブでファイルを共有する」や「OneDriveでファイルを共有する」を参照してください.
Googleドキュメントについては,「Googleドキュメント」を参照してください.
その他にも,会議で便利なクラウドツールについて,「オンラインのグループディスカッションでワークシートを活用する」のページで紹介しています.
求める安全性による共有設定の使い分け
クラウドストレージを用いたファイルやフォルダの共有では,共有設定を使い分けることによって,安全性を高めて共有することも,安全性にこだわらずに手軽に共有することもできます.
ここでは,求める安全性に応じた共有設定について,宛先指定で安全に共有する方法と,リンクを知る全員や東京大学の構成員に共有する方法について説明します.
宛先指定で安全にファイルを共有する
クラウドストレージを用いて安全性と生産性をともに高める使い方として,宛先指定でファイル共有を行いクラウドストレージの認証で安全性を強化するという使い方があります.
組織内の機微な情報や個人情報が含まれるファイルなど,受信者以外に漏洩してはいけないファイルを共有する場合には,クラウドストレージで宛先を指定して共有することで,安全性を高めて共有することができます.
宛先指定でファイル共有をすることで,以下のようなメリットがあります.
- 宛先指定された共有ファイルやフォルダは,宛先としてアクセス権を付与されたアカウントでクラウドストレージにログインしなければアクセスできないため,メールの誤送信や盗聴による共有リンクの漏洩での情報漏洩のリスクを低減できます.
- 相手のメールアドレスはGoogleアカウントやMicrosoftアカウントのメールアドレスでなくても共有することができます.
- メーリングリストを宛先として指定してファイル共有を行う場合には,注意が必要です.
- メーリングリストに含まれる複数人が確認コードを用いた認証を行うことで,確認コードのメールが複数届いてしまいます.
- 受け取り手の組織内でファイルにアクセスする人を決めていただくなど,メールで注意を呼びかけることを推奨します.
- ファイルそのものにパスワードをつける必要がないため,受け取り手も便利にファイルにアクセスすることができます.
宛先指定でファイル共有をする具体的な方法については,学内と学外に共有する場合でそれぞれ説明が異なります.学内に共有する場合はGoogleドライブで学内の関係者とファイル・フォルダを共同編集する場合やOneDriveで学内の関係者とファイル・フォルダを共同編集する場合を,学外に共有する場合はGoogleドライブで学外の関係者とファイルを共同編集する場合やOneDriveで学外の関係者とファイルを共同編集する場合を参照してください.
より安全な使い方
より安全にファイル共有を行うため,ダウンロードの禁止や期限の設定を行うことができます.ダウンロードの禁止を設定することで,リンクの漏洩時に共有を停止することで以降のファイルの漏洩を抑制することや,ダウンロードしたPCへの侵入などによるファイル流出のリスクを低減することができます.また,共有の期間が限定的なファイルについては,期限の設定をすることで,アクセス権の削除を忘れた場合に不必要な共有を終了し,情報漏洩のリスクを下げることができます.
- ダウンロードの禁止
- 編集権限がある人にはダウンロードを禁止することができません.
- デメリットとしては,受取手が閲覧時に好きなソフトが使えないなどの利便性の低下が挙げられます.
- 詳細な手順は,その他の共有設定を変更したい場合や,共有リンクを新規作成するの手順3を参照してください.
- 期限の設定
- アクセスできる人の範囲が特定の場合にのみ設定することができます.
- Googleドライブでは,アクセスできる人の範囲の2つの設定方法のうち,個別に相手を指定して設定する場合にのみ期限が設定できます.
- 「リンクを知っている全員」「東京大学ECCSクラウドメール」では設定できません.
- Auto Expire Drive Linksというプラグインを使って設定することも可能です.
- OneDriveではユーザーの範囲が「すべてのユーザー」の場合のみ期限が設定できます.
- Googleドライブでは,アクセスできる人の範囲の2つの設定方法のうち,個別に相手を指定して設定する場合にのみ期限が設定できます.
- 詳細な手順は,個別に相手を指定して共有したい場合の設定手順や,共有リンクを新規作成するの手順3を参照してください.
- アクセスできる人の範囲が特定の場合にのみ設定することができます.
リンクを知る全員や東京大学の構成員に共有する
機微なファイルでなければ,リンクを知っている全員や東京大学の構成員に向けて共有することも可能です.
こちらの方法では,ファイルの共有がスムーズに行える一方で,リンクが分かればクラウドストレージの認証なしでファイルを閲覧・編集できてしまうため,共有リンクの誤送信や,受け取り手が誤ってどこかに掲載してしまった場合など,リンクの漏洩が起こるとファイルにアクセスされてしまうため,機微なファイルは必ず前述した宛先指定の方法で共有してください.
具体的な方法については,学内に共有する場合はGoogleドライブで学内の関係者にファイルを公開する場合やOneDriveで学内の関係者にファイルを公開する場合を,学外に共有する場合はGoogleドライブで学外の関係者にファイルを公開する場合やOneDriveで学外の関係者にファイルを公開する場合を参照してください.
従来のファイル送信やパスワード別送との生産性・安全性の比較
従来は,ファイルを送信する場合には,各ファイルごとに都度送信を行う方法が使われていました.また,安全性を高めるために,パスワード付きZipを送信し,パスワードを別送する方法が使われていました.
ここでは,従来使われていた方法との利便性と安全性の比較について説明します.
利便性の比較
ファイルごとの都度の送信では,以下のような利便性の課題がありました.
- ファイルを都度送信し,ダウンロードして編集して再度送信する手間があります.
- 関連する別の書類を後から送信する際に,ファイルごとに都度送信する手間があります.
また,「パスワード付きZip送信+パスワード別送」においては,受け取り手において以下のような利便性の課題がありました.
- 別のメールにパスワードが送られるため,後からパスワードが見つからなくなることがあります.
- Zipにパスワードをつけて送信するため,ブラウザ上でのプレビューなどができません.
一方で,クラウドストレージを用いた共有方法では,これらの課題が以下のように改善されます.
- クラウドストレージ上でコメントや共同編集をすることができます.
- ダウンロードして編集して再度送信する必要がありません.
- フォルダ単位で共有することができます.
- 一度フォルダを共有すれば,一連の書類をまとめて共有することができます.
- 後からファイルを追加で共有することも容易です.
- 共有されたフォルダを用いて相互にファイルをやり取りすることができます.
- メールボックスからパスワードを探す手間はなく,クラウドストレージの認証をするだけで機微なファイルを受け取ることができます.
- Zipファイルで共有されなくなるため,ブラウザ上でファイルのプレビューをすることができるようになります.
安全性の比較
クラウドストレージを用いた共有の安全性については,メールなどの盗聴によるファイルへの不正アクセスのリスクを低減することができます.
従来使われていた「パスワード付きZip送信+パスワード別送」の方法では,ファイルが送信されたメールが盗聴されることによってファイルが漏洩することを防ぐために,ファイルにパスワードを設定し別のメールでパスワードを送信することで盗聴のリスクを低減する方法として使われてきましたが,パスワードが送られるメールもほとんど同時に送られるため盗聴されている可能性が高いと考えられていました.
一方で,クラウドストレージを用いて宛先指定でファイル共有をすることによって,リンクが含まれるメールが盗聴されたとしても,受け取り手のGoogleアカウントやMicrosoftアカウントのパスワードが漏洩しない限りはファイルが漏洩されないため,盗聴による漏洩のリスクが低減されています.
安全性に関する注意事項
メールの盗聴などによる不正アクセスのリスクの低減に加えて,クラウドストレージを用いてファイルの管理や共有,共同編集などを行うことで,個人のPCの中でファイルを保管しなくて良いため,個人のPCへの侵入によるファイルの流出や,PCの紛失による情報漏洩のリスクなども低減することができます.一方で,アカウントへのログインができれば情報が漏洩してしまうため,推測しにくいパスワードの設定や定期的な変更,多要素認証の有効化など,アカウントへの不正ログインの対策を強化することが必要です.加えて,アクセス権の設定を間違えて誰でもファイルにアクセスできるようになることで情報が漏洩することも考えられますので,注意が必要です.