東京大学の学生の皆さんへ:AIツールの授業における利用について(ver. 1.0)

2023年5月26日
理事・副学長(教育・情報担当)/学部・大学院教育部会長 太田邦史

東京大学の方針として、ChatGPTを始めとした生成系AIツールの教育現場における利用について、下記のように暫定的に方針を定めました。学生の皆様は、生成系AIツールの長所短所を理解した上で、適切な活用を心掛けてください。

  1. [大学の対応]東京大学では、生成系AIツールの利用を一律に禁止することはせず、その活用の可能性を積極的に探るとともに、活用上の実践的な注意を発信していきます。
  2. [授業での利用の可否]授業の特性に応じて生成系AIツール利用の判断は異なります。そのため、各授業における生成系AIツール利用の可否および利用する際の条件設定は、担当教員の判断に委ねています。それぞれの授業における利用の是非については、所属学科や専攻および各授業の担当教員の指示に従ってください。
  3. [教育効果の重視]大学での学びにおいては、知識生成の過程や洗練化の過程を通して思考能力を高めることが重要です。生成系AIツールでは、情報を収集・整理する作業を自動化し結果だけを表示します。生成系AIツールで生成された文章をそのまま授業課題の回答とすれば、この貴重な思考過程の訓練の機会を逸することになり、長期的には当人の能力向上が損なわれます。授業によって、利用禁止にしたり、利用に一定の条件を設定するのはこのためです。
  4. [不正行為]学術の世界だけでなく社会活動全般において、個々人のアイデアや独創性を尊重することが重要です。レポートや論文では、根拠となった出典を明記した上で、自分なりの考えを記載することが求められます。授業課題を提出する際に、生成系AIツールが生成した文章等をそのまま自分の文章として用いることは認められません。
  5. [誤謬の可能性]生成系AIツールによって生成された文章は、一見妥当そうに見えても、間違いが含まれていたり、利用者の意図には整合しない内容になっていることがあります。また、AIの回答には学習内容や設定アルゴリズムに基づくバイアスが存在することもあります。生成結果を鵜吞みにするのではなく、自ら必ず吟味したうえ、適宜修正するなどした上で活用する必要があります。インターネット検索と同様、AIの生成物の信憑性を判断し、修正できることも今後社会を生きていく上で重要な能力です。
  6. [法的リスク]生成系AIツールに限らず、AIツールの生成物には著作権や意匠権上の問題が存在する可能性が示唆されています。よって、生成結果をそのまま利用することが将来、法的なリスクを伴う可能性もあります。この点についても十分に注意してください。また、AIツールを用いて作成したものについては、どのツールを用いたかを記載することが求められることがあります。
  7. [情報セキュリティ]AIツールに入力した情報は、今のところ何らかの形でAIの学習に用いられる可能性があります。このため、機密情報、個人情報、未発表の研究成果などを入力してしまうと、情報漏洩の懸念がありますので、これらについては絶対に入力してはいけません。
  8. [今後の予定]AIツールは常に進化しており、利用に際しても注意事項も変化していく可能性があります。ここで述べた事項は、あくまで2023年5月現在での状況をもとに記載したものであり、今後適宜アップデートを行う予定です。

本ポータルサイト (utelecon) の生成AI(ChatGPT等)関連情報ページはこちら

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